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~嘘をつく~

  • 執筆者の写真: 聡 和泉
    聡 和泉
  • 7月4日
  • 読了時間: 2分

 最近、出会った文章の中で、思わず「ああ、その通りだよなあ〜」と心の中で最も大きくつぶやいたのは、2月7日の日経新聞に載ったコラム『プロムナード』で、ノンフィクション作家の河合香織さんが書いた『嘘の効用』という一文です。

 「子供が生まれた時に、この子が嘘を吐いても絶対に叱らないでおこうと決めていた。それなのに、今日もまた嘘を咎めてしまった」と書き始めた河合さん。子どもに謝る代わりに、谷川俊太郎の『うそ』という詩を読み聞かせたのだそうです。

 「ぼくはうそといっしょにいきていく/どうしてもうそがつけなくなるまで/いつもほんとにあこがれながら/ぼくは何度も何度もうそをつくだろう」

 そして河合さんは「誰にでも言えないことがある。言いたくないこともある。辛さを覆うために嘘を吐くことだってあるだろう」と書き進め、最後に「嘘を言わざるを得ない思いに考えを巡らせることこそ、誠実さではないかと。嘘の中に本当のことがある。嘘が生きる養分にもなる」と締めくくりました。

 嘘をついたことを責めるよりも、嘘をつくしかなかったその状況、その人の気持ちに思いを致らせる。そのことこそが、本当の優しさなのだと教えられ、私の心に深く刻まれたのでした。

 人間の感情や行動はいつも矛盾に満ち絶えず揺れ動く。いまこうだと思ったことが、次の瞬間には変わったりする。社会も世の中も複雑で理路整然と説明できないことが多い。大切なのは、正論を大上段に振りかざすのではなく、人間や社会のもつ矛盾や複雑さにいつも思いを馳せる。そういう優しさを持つことこそが、まちづくりをしていくうえでも大切なのではないか。足利市はそんな優しさを持つまちであってほしい。そんなことを胸に市長の仕事を進めたいと思ったのでした。

 (広報 あしかがみ 2019.4)

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