~カーナビ任せでいいのか~
- 聡 和泉
- 7月4日
- 読了時間: 2分
台風第19号の後に出たたくさんの評論の中で、最も印象的だったのは、冒険家で作家の角幡唯介さんが「命を守る判断は、人に委ねず自分で」と呼びかける中で、カーナビ任せにしている我々に警鐘を鳴らしたものでした。(2019年11月12日付朝日新聞『耕論』)
インターネットや情報通信技術の進歩で、我々はかつてとは比べ物にならないほど便利な社会に生きている一方で、人間本来がもっている知覚や感覚が鈍くなってきており、それがいざ災害という時も、マイナスに作用しかねない。そんなことを角幡さんは私たちに問題として提起してくれました。
そのわかりやすい例としてあげたのが、カーナビです。「人は従来、紙の地図と目に入る周囲の目印を照らし合わせ、外の世界を身体の中に取り込み『地図』を作るという作業を通じて道を覚えてきました。(中略)この過程を一切カーナビに任せてしまえば楽で効率的な半面、個人の知覚は鈍くなり、道を覚えにくくなります」と角幡さん 。
私は、このくだりを読んで、はっとしました。朝日新聞の警視庁担当記者時代、事件を追いかけて、毎日都内を中心に多い時には300㎞も車で移動しました。そのうち「渋谷のここから、浅草のここまで、この時間帯なら渋滞がこうだから、何分で走れる」と正確に予測できるほど、道に詳しくなりました。ところが今はどうでしょう。すべてカーナビ任せで、車に地図帳を積んだこともありません。自分で道を覚えることは、格段に少なくなりました。
便利な器具や技術を使ってはいけない、とは思いません。しかし、使うことによって確実に失われていく大切なものがある。それをきちんと認識し、補う努力、落とし穴に落ちない努力をすることが大切だ、と改めて気づかされたのでした。
(広報 あしかがみ 2020.2)

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