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~人生は、だましだまし~

執筆者の写真: いずみ聡
いずみ聡
7月4日
読了時間: 2分

 この10年ほど、結婚式に呼ばれあいさつを頼まれると、その最後に必ずお話することがあります。

 「夫婦生活の少しだけ先輩の立場からアドバイスすると、何かにつけ、夫婦間であまり突き詰めた議論をしないこと。なんとなく相手はこう感じているのだろうな、まあ、それでいっか、と良い意味で曖昧にしておくこと。それはこうだからおかしい、とか、こうだから正しいとか、論理的な議論はしないほうが何かとうまくいく。夫婦とはそういうものだと思っています」。自分の経験から、これから長い旅路を共に歩む若いカップルへのはなむけの言葉にしてきました。

 6月に作家の田辺聖子さんが亡くなりました。人の心の微妙な動きをすくい取る恋愛小説やユーモアあふれる文章でファンの方も多かったと思いますが、朝日新聞の天声人語(6月11日付)では、田辺さんが夫を見送った翌年に出した随想集『人生は、だましだまし』から次の一説を紹介していました。

 「夫婦円満に至る究極の言葉はただ一つ、『そやな』である。夫からでも妻からでもよい。これで世の中は按配よく回る」天声人語の筆者は「言いたいことは多々あれど、あえて腹に収めておく。夫婦の知恵だろう」と説明を加えていました。

 仕事を進めていく上では、データを積み重ねながら、論理的な緻密さが必要なことがもちろんあります。しかし、こと人間関係になると、夫婦はもちろん、家族でも、仕事仲間でも、きれいに論理的に整理できるなんてことにはならない。人は複雑な感情をもった動物だからです。

 田辺さんが言おうとしたこと、私が言おうとしたこと、それは『思いやり』『優しさ』と言い換えのいいのかもしれない。そう思ったのでした。

 (広報 あしかがみ 2019.8)

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