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いずみ聡 公式サイト

~同じ心の国籍~

  • 執筆者の写真: 聡 和泉
    聡 和泉
  • 6月28日
  • 読了時間: 2分

更新日:7月4日

 本を読んでいると、様々な言葉に出会います。私は「ああ、これはいい言葉だなあ」と心に刺さったとき、携帯のメモアプリにその言葉を書きつけ、電車の中や仕事の合間など、ことあるごとに読み返しています。気持ちが落ち込んだときや、心に迷いがあるとき、これを読み返すと、不思議と心が落ち着きます。

 最近出会った言葉で、読んだ瞬間に大好きになったのは次の一節です。


 私は、いつの頃からか、世間には、同じ言葉で話せる人間と、それの通じない人間のあることがわかってきました。それは、心の国籍のようなものです。……同じ国籍の者同士は、たとえ、初めてあっても、相手の心の中に、自分と同じ故郷の山河をもっていることが、わかるのではないでしょうか。(ブッシュ孝子全詩集「暗やみの中で一人枕ぬらす夜は」新泉社)


 ブッシュ孝子は、児童心理学を学び、がんで闘病中にドイツ人青年と結婚、1974年に28歳で亡くなりました。その直前の5か月間にノートに書き記したことばが詩集になり、略年譜に彼女の言葉として紹介されている一節です。同じ日本語を話しているのに「同じ言葉で話していない」と思ってしまう相手と、「同じ言葉で話している」と思える相手がいる。誰もがもっている実感ではないでしょうか。そして「同じ言葉で話せる」友と語らう時間の心地よさと安心感は何物にも代えがたい。難しい単語を使うことなくそれを的確に言い表したこうした言葉に出会うと「ほんとうにそうだなあ」と思わずにいられません。もうひとつ、私の好きな言葉を思い出しました。


 人と、心の底まで染み入るような会話が出来るということが、人生で最高の贅沢だと思っている(曽野綾子「ほんとうの話」新潮文庫157頁)

(2026年2月15日)

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