~苦しさを共有する~
- 聡 和泉
- 7月4日
- 読了時間: 2分
最近、印象的だった文章のひとつは、朝日新聞編集委員の稲垣えみ子さんが、9月10日付けの『ザ・コラム』で書いた『寂しさを抱きしめて』という一文でした。
この冒頭で稲垣さんは、朝日新聞を辞めることにしたと告白し、自らの記者としての活動を振り返りました。共感したのは「振り返れば、分からないということ、だから悩むのだということ、苦しいが生きていかねばならないということ」と稲垣さんが人生の本質ともいえることを表現したくだりでした。
さらに彼女は、「何が正しいかなんて分からないということです。皆その中を悩みながら生きている。だから苦しさを共有するコミュニケーションが必要なのだ。なのに分からないのに分かったような図式に当てはめてもっともらしい記事を書いてこなかったか。不完全でいい、肝心なのは心底悩み苦しむことではなかったか」「私はマスコミにいながらコミュニケーションをしてこなかったのかもしれない」と述べています。
分かったような図式に当てはめて、もっともらしい記事を書く。私にも25年の記者生活の中で、同じような場面があり頷きながら何度も読み返しました。
私は職員たちに、「仲間と議論をしろ」と毎日のように言っています。どうしたらまちがよくなっていくのか。簡単に答えは出ません。そこで悩み苦しむ。大事なのは、その悩みや苦しみを仲間や市民と共有することではないか。
稲垣さんは朝日新聞で私と同期入社でしたが、一緒に仕事をしたことも、親しく話したことありません。この一文が掲載された後、メールで連絡し「次の仕事は何ですか?」と尋ねると「無職になります。仕事はしたいけど、お金が支配する世界からは一線を画して生きていきたい」という返事がきました。
(広報 あしかがみ 2015.12)

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