top of page
いずみ聡 公式サイト


~自分の小ささを知る~
80年前に書かれた『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎著・マガジンハウス)が大ヒットし、話題になっています。漫画と原作がありますが、私は原作を読みました。 15歳の少年コペル君が、学校など身近な場所で起きる日常の出来事を通じ、叔父さんと対話をしながら、悩み、考え、世界観や倫理観、人生観を身につけて成長していく。私が何度も頷きながら読んだのは、コペル君が「人間て、まあ、水の分子みたいなものだね」と言い、叔父さんがそれに応じて、「(そう言った時の君の顔は)ほんとうに美しく見えた。(略)ああいう事柄について、君が本気になって考えるようになったのか、と思ったら、僕は大変心を動かされたのだ」と手紙で語った場面でした。文芸評論家の斎藤美奈子さんは朝日新聞で「(この本の)メッセージは明快。人間はちっぽけだけど、世界は広い」と話しています。 私は朝日新聞時代の34歳のとき、ハーバード大学に留学し米国で生活しました。その間、百回以上、米国人から「あなたは、日本で新聞記者をしていたというが、なんという新聞社だ?」と尋ねられ「朝日新聞」と答えましたが、「あー知って
聡 和泉
7月4日読了時間: 2分


~天を相手に己を尽くす~
新年明けて今年は明治維新から150年。これから始まるNHK大河ドラマは維新の立役者、西郷隆盛が主人公です。 西郷が残した言葉のひとつ「人を相手にせず、天を相手にせよ。天を相手に己を尽くし、人を咎めず、我が誠の足らざるを尋ぬべし」。時代を超えて人々に訴える力をもった言葉というのは、実は同じようなことを言っていることが多い。西郷の言葉を聞いてすぐ、私の脳裏に浮かんだのは、論語の「人の己を知らざるを患えず、己の能くする無きを患う」。 人は誰しも弱いから、ついつい他人の評価や視線を気にしがちだけど、大切なのは、自分のなすべきことをきちんとしているのか、自分は誠意を尽くしているのか、そのことを自分の胸に手を当てて、天に向かって静かに自問自答する、それだけでいいではないか。 昨年11月26日の朝日新聞の書評欄で、幕末の研究者、家近良樹さんの『維新150年目の真実』(NHK出版新書)が紹介されていました。「西郷に匹敵したという中根雪江や川路利良らにも言及し、リーダーの資質を示す。背景には今日の『政治の劣化』や『礼節の欠如』があるといい、大切なものに人生を
聡 和泉
7月4日読了時間: 2分


~捨てる~
平昌オリンピックの男子フィギュアスケートで見事に連覇を果たした羽生結弦選手については、たくさんの報道がありました。私が最も印象に残ったのは、羽生選手がテレビのインタビューで「いろんなものを捨てて、この金メダルのためだけに生きようって思っていた」と話したことでした。「(捨てることで)自分の思いが洗練されて、どんどん小さくなっていって、最終的にきれいなかけらになった」と今回の金メダルを表現しました。 記者時代、上司や先輩に言われたのは、「10の取材をしたら、9を捨てて1を書け」でした。10の取材をすると、もったいなくて、つい10全てを書きたくなるのですが、その衝動をいかに抑えるか。 「一度書いた自分の原稿を徹底的に削れ」「削ることでしか文章は上達しない」ともよく言われました。いったん書いてしまうと愛着が湧き、削るのは難しいのですが、思い切って削れたとき、引き締まったいい原稿になっていました。 式典でも、司会者が余計なことを言わないとき、引き締まったいい式典になります。市民に説明するときも、10の準備をしたら本当に必要な1だけを話す、そのくらいで
聡 和泉
7月4日読了時間: 2分


~憂患に生きて安楽に死す~
1月20日の新聞各紙朝刊は、1面トップで『オウム全裁判終結』を伝えました 。23年前、朝日新聞社会部警視庁捜査1課担当記者として、事件の最初から最後までを追いかけた者の一人として、感慨深く読みました。 当時、毎日、帰宅は午前2時〜3時、家を出るのが午前5時。かん口令が敷かれた捜査当局から漏れてくる断片的な情報をもとに、もうろうとする中、必死に記事を書きました。歴史的な事件群に遭遇し、大海原で巨大な嵐に揉まれ、必死に小舟にしがみついている、そんな感覚でした。「このまま心身ともに限界を超え、大海原に投げ出されて死んでしまう」と考えたのを鮮明に覚えています。 一方で、いま振り返ると、あの巨大な事件群に遭遇しそれを乗り越えたからこそ、いまの自分がある。当時、「生涯、これ以上辛い時間はないだろう」と思い、あの時が確実に自分を成長させた、と実感しています。 そんなことを考えていたら、その3日後の朝に読んだ『孟子』で「憂患に生きて安楽に死す」という言葉に出会いました。苦しい試練があってこそ、人は鍛えられて成長する。苦しい時こそが進歩発展、将来に希望が持て
聡 和泉
7月4日読了時間: 2分


~よく生きる~
最近出会った言葉の中で、最も印象的なのは、ソクラテスが残した「何よりも大切にしなければならないのは、ただ生きるということではなくて、よく生きるということである」です。 ソクラテスは、市民500人の陪審員に法廷で裁かれ、死刑になりました。罪状は「神々を認めない。青年に有害な影響を与えている」という、言いがかりに近いものでした。友人から盛んに脱獄を勧められますが受け入れず、毒杯を仰いで死にました。彼にとってそれが『よく生きる』ことだったのです。 そこまでを振り返って、改めて、西洋でも中国でも日本でも、後世の人々の心に強い印象を残した哲学者や思想家に共通していることがあるのに気づきました。それは、どんなに正しいこと、正義に基づいたことを唱えても結局は人々にわかってもらえず、それでも自分を曲げずに貫き通した、凛とした姿でした。 中国哲学者の故・金谷治は、孟子について「世俗に容れられず、現実の政治的活動から身を退けた(中略)が、それは決して単なる敗北の過程ではなく、一つの理想を守り貫ぬく歩みであり、精神の高らかな勝利を歌うものであったとしてよい」と書
聡 和泉
7月4日読了時間: 2分


~映画「ちはやふる」の舞台、府中と足利~
朝日新聞の社員寮があった縁で20代後半から、家族で住み始めた府中。人生の半分以上の34年間、府中に住まいをもち、最近生まれ故郷の栃木県足利市長をつとめた私が自分で取材執筆するこのシリーズの初回は、この話題しかないと、迷わず選んだのが映画「ちはやふる」だ。なぜなら、映画の舞台は府中市にあると設定されている瑞沢高校の百人一首カルタ部。そして映画の中で高校のロケ場所として使われたのが、足利市の西部にある旧県立足利西高校の校舎だからだ。私は市長当時、「映像のまち構想」という取り組みを展開していて、映画やドラマの撮影を積極的に誘致していた。たくさんの作品が足利を使って撮影してくれたが、そのうちのひとつが「ちはやふる」だった。制作していた2016年ころ、主役の広瀬すずさんたちが、旧足利西高校の校舎を使って、さまざまな場面を撮影していたとき、ロケ現場に何度も激励にお邪魔したのを昨日のことのように覚えている。 そして、舞台として設定された、高校のカルタ部の所在地がなぜ府中だったのか。それは作品の中で重要な役回りを演じるカルタの師匠(映画では國村隼さんが演じてい
聡 和泉
6月30日読了時間: 3分


~全力で生き、学び続ける~
毎朝5時過ぎ。今の時期、真っ暗な時間ですが、布団から抜け出しジャージに着替えて外に出ると、星空と冷たい空気が迎えてくれます。そして近所をゆっくりと6キロ弱走る。最後には公園のベンチで、ストレッチ、腹筋と腕立て伏せをして、自宅に戻りシャワーを浴びる。市長になってからずっと続けている日課です。今年4月からは、走りながらラジオ英会話講座を4種類聴いています。 体調管理は重要な仕事だと思っています。体調が悪ければ気持ちも弱気になる。時に市民を代表して、重大な決断や選択をしなければならない仕事ですから、体調が悪く気持ちが落ち込んでいたがために、弱気な判断、間違った選択をしたら市民に申し訳が立たない。いつもそんな思いが自分の中にあるからです。 シャワーから出ると、仏壇にお線香をあげ、「今日も一日、『このまちにとって何が最善か』、ただそれだけを物差しに、走り抜けます。どうかお守りください」と心の中で祈ります。 そして机に向かい、静寂の中で勉強を始めます。市長になってからこの朝の時間帯にしている勉強は、中国の古典を読むこと。論語、孟子、大学、中庸、伝習録、
聡 和泉
6月28日読了時間: 2分


~無用の用~
年明け、読みそびれた雑誌を整理していたら、中央公論の昨年11月号に、大隅良典さんが仲間の研究者とした対談が掲載されているを見つけました。大隅さんといえば、ノーベル医学・生理学賞の受賞で有名になりましたが、この対談は受賞直前に行われたものだけに、大隅さんの飾り気のない考え方をうかがい知れて興味深く読みました。印象的だったのは、日本で科学研究に携わる者が、役に立つか立たないかという物差しばかりにとらわれている現状を激しく嘆いていることでした。「私は『役に立つ』という考えが、今の日本をいちばん毒していると思う」、「役に立たない研究をやる人がいるのが社会的にとても大事だということが認識されないと、日本の科学は悲惨なものになる」。のちにノーベル賞を受賞した人の発言だけに説得力がありました。 ここで思い出したのは、中国の思想家、荘子が言った『無用の用』という言葉でした。役に立たないように見えても本当は有用なものが多いのに、それには目が行かないという意味です。 私は記者時代、大切にしていたのは、事件が何もないとき、取材が何もないときこそ、取材先に足しげく通
聡 和泉
6月28日読了時間: 2分


~最上の政治~
市長としての実績は?と問われ、あれをしましたこれをしました、と言うと、謙虚さが足らないと叱られ、そうか謙虚にならないといけない、と反省して静かにしていると、あなたは一体何をしたのだ、実績はなんだ?と問い詰められる。政治家というのは、本当に難しい仕事だなぁと、市長になって以来、常々思ってきました。 先日もそんなことを考えていた折り、毎朝読んでいる中国の古典(今は孟子を読んでいて三度目の通読)の中に、こんな言葉を見つけました。「霸者の民は驪虞如(うれしげ)なるも、王者の民は皞皞如(のびのびし)たり。(中略)民は日に善に遷りながら、これをせしむる者を知らず(後略)」(189章)(『孟子・下〜中国古典選9』金谷治、朝日新聞社)。金谷さんの解説は、次の通りです。「覇者の政治は人気取りをするから、民衆はその恩恵を喜んで嬉しげであるが、王者の政治は自然で目だたないから、その民衆はのんびりと満足している。(中略)治者の存在を意識しないのが、最上の政治で、それこそ王者のことだという」(226頁)。 これはすごい!と私は思わず心の中で叫んでしまいました。人々が政
聡 和泉
6月28日読了時間: 2分


~思考の筋肉を鍛える~
リベラルアーツという言葉を辞書で引くと『一般教養』という訳が出てきます。もともとの語源は、古代ギリシャまでさかのぼり『人間が奴隷ではない存在、すなわち自由人であるために必要とされる学問を意味』し、自由七科(文法、修辞学、論理学、算術、幾何、天文学、音楽)がその内容で、一般教養という語感よりは、奥が深い意味をもっています。 以上の説明は、たまたま出会った『大人になるためのリベラルアーツ〜思考演習12題』(石井洋二郎、藤垣裕子著、東京大学出版会)という本から引用させてもらいました。 コロナ禍の中、経済優先か感染拡大防止優先か、といった点を含め、簡単には答えの出ない問題に私たちは直面していますが、考えてみれば世の中には絶対的な正解などない、という問題がたくさんあります。そういう問題について、東大生たちが議論を展開したその記録がこの本に収められています。 第10回目の問題提起は『絶対に人を殺してはいけないか』。論点として『あなたは死刑制度に賛成か、反対か。その理由は?』『戦争状態で人を殺すことは正当化されるか』『あなたは安楽死に賛成か反対か』などが
聡 和泉
6月28日読了時間: 2分


~伝わる、とは~
市長になって4年2カ月。正確に数えたことはないのですが、毎日平均5件として、7500回ぐらい挨拶をさせていただく機会がありました。その都度、相手に『伝わる』とはどういうことか、と思い続けてきました。そんな『問い』をいつも胸に論語を読み続けていると、随所に答えの手掛かりになる言葉があることに最近気づいたのです。 『之れを為すこと難し、之れを言いて訒(じん)する無きを得ん乎』(いうのはやさしいが、実行はむつかしい。しからばものをいうとき、口ごもらずにいられようか)=顔淵。『巧言は徳を乱る』(口先の巧みな言葉は、徳を乱すだけだ)=衛霊公。『便辟(べんぺき)を友とし、善柔を友とし、便佞(べんねい)を友とするは、損なり』(いやなことを避けたがる便宜主義者、人ざわりがよいだけの人間、口先だけの便宜主義者、これを友としては損だ)=季氏。『焉(な)んぞ佞(ねい)を用いん。人を禦(ふせ)ぐに口給を以ってし、屡(しば)しば人に憎まる』(弁舌が何の役に立つのか。口給、すなわち口先の機転で人を禦ぎ、つまり便宜的に一時的に人をごまかし、そのために人から憎まれるだけだ)=
聡 和泉
6月28日読了時間: 2分


~たしかな生き方~
教会という権威にではなく、教えそのものを大切にすべきだという、キリスト教の無教会主義だった内村鑑三が、箱根の山で仲間に語った記録「後世への最大遺物」を数日前に読み終えました。お金がある人は財産を残して後世に貢献すればよい。思想がある人は、思想を残して貢献すればよい。文才のある人は、本を書き残して貢献すればよい。では財産も思想も文才もない人は何を残せばいいのか。内村は「正義に、もとることなく一生懸命生きたことこそが、後世への最大の遺物」と結論します。 これを読んでいて瞬間的に私の脳裏に浮かんだことがありました。2年前に読んだ三浦綾子の「塩狩峠」の一節です。北海道で暴走する列車の車輪下に身を投げて停車させ多くの命を救った長野雅夫がモデルのこの小説に次のようなくだりがあります。 (主人公信夫の)父は遺言の中で「日常生活において、菊(妻)に言ったこと、信夫、待子に言ったこと、そして父が為したこと、すべてこれ遺言と思ってもらいたい。わたしは、そのようなつもりで、日々を生きてきたつもりである…」…それは常に死を覚悟して生きて来た姿とは言えないだろうか。…
聡 和泉
6月28日読了時間: 2分


~第二の矢~
生きていると、楽しいこともあれば、苦しいこともありますが、どちらかというと、苦しみを感じることの方が多いのだと思います。なぜか。最近、禅や仏教の本を読んでいて、教わることがありました。少し冷静になって人間の心の動きを観察してみる。例えば、楽しみにしていた旅行の前日に、足をくじいてねん挫し、旅行に行けなくなったとします。私はなんて不運なんだと思う。旅行に行っていれば、きっといい景色を見て、いい空気を吸って、美味しいものを食べられたのに。こうした心の動きを顧みる時、足をくじいたことを「第一の矢」とすると、いい景色を見られたはずなのに、美味しいものを食べられたはずなのに、と思うことが「第二の矢」です。人間を苦しめるのは、実は「足をくじいた」という事実そのもの、つまり「第一の矢」よりも、自分はあれもこれもできずに損をしたと分析したり比較したりする「第二の矢」の方なのではないのか。だから第一の矢が来たら「できるだけ早く治そう」とだけ思い、あれもこれもできなかったから不運だという「第二の矢」が来ないように心がける。なぜならこの「第二の矢」こそが、人を苦しめて
聡 和泉
6月28日読了時間: 2分


~同じ心の国籍~
本を読んでいると、様々な言葉に出会います。私は「ああ、これはいい言葉だなあ」と心に刺さったとき、携帯のメモアプリにその言葉を書きつけ、電車の中や仕事の合間など、ことあるごとに読み返しています。気持ちが落ち込んだときや、心に迷いがあるとき、これを読み返すと、不思議と心が落ち着きます。 最近出会った言葉で、読んだ瞬間に大好きになったのは次の一節です。 私は、いつの頃からか、世間には、同じ言葉で話せる人間と、それの通じない人間のあることがわかってきました。それは、心の国籍のようなものです。……同じ国籍の者同士は、たとえ、初めてあっても、相手の心の中に、自分と同じ故郷の山河をもっていることが、わかるのではないでしょうか。(ブッシュ孝子全詩集「暗やみの中で一人枕ぬらす夜は」新泉社) ブッシュ孝子は、児童心理学を学び、がんで闘病中にドイツ人青年と結婚、1974年に28歳で亡くなりました。その直前の5か月間にノートに書き記したことばが詩集になり、略年譜に彼女の言葉として紹介されている一節です。同じ日本語を話しているのに「同じ言葉で話していない」と思ってし
聡 和泉
6月28日読了時間: 2分


~第一流の人物とは~
最近読んだ『日本人の意識構造』(会田雄次著)の中で、明治38年3月1日、日露戦争の奉天会戦が始まった際の総司令官、大山巌の逸話が紹介されていました。 両国の命運を決定する、世界史上まれな大規模戦闘が始まった朝、司令部は砲弾の轟音で部屋が揺れ、報告者たちが慌ただしく出入りしていた。児玉総参謀長は、興奮と緊張で顔面を蒼白にして、甲高い声で叱り飛ばすように、次から次へ指示を与えていた。そこに大山が入ってきて、ゆっくりと歩み寄り、大声で「児玉どん、児玉どん、どげんしたにゃ、今日は早くから大砲の音がやかましかが、なにごとで、ごわすか」と聞いたのだそうです。さらに大山は激戦中の野砲部隊の後方に現れ、狂乱したように命令を与え続けている指揮将校に、「大筒というのは上に向けるほど、遠くへ飛ぶんでごわすかな」と聞きました。 こうした大山の言葉が、アガりきっていた人たちに三斗の冷や水をあびせ、衝撃的に冷静に引き戻す作用があったと、この本の筆者は書いていました。 私はこのくだりを読んだ瞬間、司馬遼太郎が『竜馬が行く』の中で、「鋭さを面にあらわして歩いているような男は
聡 和泉
6月28日読了時間: 2分


~続・至誠通天~
市長を退任してから、4年6カ月。新たな仕事や人々との出会いのなか、いつも心の一番の奥底で考え 込む自分がいました。市長時代の数倍の本を読む。小説家や歴史家、批評家、著述家の文章を読みなが ら、それを書いた人たちの肉声を耳にする。そうして朝、目が覚めると、「昨日より今日、また一歩、自 分は自分の終わりに向かって歩みを進めた」という当たり前のことを思うようになりました。自分も、自 分の愛する人も、尊敬する人も、日々そうした歩みはみな同じく平等に訪れている。であればなぜもっと 謙虚になれないのか。そんなことを考えるうち、ずっと、ためらっていた「書くということ」をせねば、 と思い立ちました。随筆家の若松英輔は「うまく書こうとしてはならない。人は、うまく生きたいとおも ってもそうは生きられない……これが自分が書く最後の文章だと思って書くことだ」(「生きていくうえで かけがえのないこと」)と書きました。できるだけ、何も足さず、何も引かず、書いていこうと思いま す。不定期に。長さもまちまちで。 ※ ※ ※ ※ ※ ※ 縁あって、最近、ある福祉関係法人の仕事を
聡 和泉
6月28日読了時間: 3分
bottom of page